関節リウマチとは?

関節リウマチは、もともと細菌・ウイルスなどを退治する為にある免疫細胞が、自分の関節を攻撃してしまう病気です。 朝のこわばり、手指の痛み・腫れ、肘・膝・足・肩など多くの関節に痛み・腫れが出てきます。またその状態を我慢してしまうと、関節の骨や腱が壊れてしまい、関節の変形を起こしてしまいます。 関節リウマチの治療はここ10年で目覚ましく進歩しました。 以前は有効な治療薬がなく、「痛み止め」や「ステロイドホルモン剤」で痛みを和らげることしかできず、患者さんの痛みを完全に良くできないばかりか、骨が壊れるのを止めることができずに多くの患者さんが手指が曲がり、肘・膝が脱臼したりして整形外科で手術をされたり、残念ながら寝たきりの状態になってしまっていました。

 

しかしここ10年で「生物学的製剤」という言わば「リウマチの特効薬」ができたことで、リウマチの痛みをとるだけでなく、関節で悪さしている免疫細胞を落ち着かせて骨の破壊や関節変形を起こさない治療ができるようになりました。生物学的製剤の中には、妊娠・授乳中も使用できる薬もあり、今まで妊娠中はステロイドホルモン剤が中心であった治療も大きく変わっています。ステロイド剤はすぐに効く良い薬ですが、何年も長期に飲むと糖尿病や骨粗鬆症、また皮膚が弱くなったりと副作用が多くなります。また最近では生物学的製剤よりもステロイドホルモン剤こそが感染症を引き起こす原因と分かってきています。現在はステロイド剤は使用しない、または短期使用にとどめ1㎎でも減らすことが大切です。

 

また診断に関しても、昔は関節や骨が壊れてから初めてレントゲンで異常が出て診断をしていました。しかし現在は「関節超音波」が登場し、骨が壊れる前に関節に腫れ・炎症があるかどうかを眼で見て診断できるようになりました。また血液検査やレントゲンで異常の出ないリウマチが全体の約1割はあり、それが今まで見逃されていたのもはっきり診断できるようになりました。 「関節超音波での早期診断」、「生物学的製剤での早期治療」がリウマチ治療において非常に大切になっております。

 

実は私の大好きだった祖父も関節リウマチを若い頃から患っており、「痛み止め」 と「ステロイド」のみで長年治療をしていました。気候の悪い日には痛みが強くなり布団で横になって痛みを我慢し、年を追うごとに手指・足指の変形も進行してしまいました。私が医師になり、リウマチを専門としたのも大好きな祖父の関節リウマチを良くしてあげたいという思いからでした。
リウマチは昔のように有効な治療薬がなく、痛みに耐えて寝たきりになってしまう病気では決してありません!関節が壊れる前の早期診断、早期治療がなにより大切です。

 

・「うーん、あなたのリウマチはまだ変形も起きていないから、治療しなくていいんですよ」
・「レントゲンで骨も大丈夫、血液検査も異常ないから、あなたはリウマチではありません」
・「生物学的製剤なんておっかない薬は使わないで、今までどおりステロイドを飲みましょう」
・「あなたは妊娠中ですから、使えるリウマチの薬はありません」
⇒ここまで読んで頂いた皆さんは、上記の会話が間違っていることは御理解いただけますよね?
リウマチの暗黒時代は終わりました、今は早期診断・早期治療でいつまでも元気にピンピンの時代です!

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