日々の診療で皆さんからよくお聞きする質問や症状などについて、ご紹介していきます。
jinzou_img
Q:リウマチで治療しています、腎臓の数値が良くないのでリウマチのお薬が使えないと言われました。腎臓の数値が悪いと、リウマチの治療はできないのでしょうか?

確かにメトレートなどのお薬は腎機能が悪いと使えません。
ただ生物学的製剤は腎機能に関係なく使えます。また飲み薬でもアザルフィジン、タクロリムス、ケアラムなど腎機能低下があっても使えるお薬があるのでご安心ください。

ワンポイント解説

腎臓の働きは血液検査の「クレアチニン」とそこから計算される「eGFR」でチェックできます。
腎機能が低下すると体の老廃物であるクレアチニンが蓄積して高くなります。さらに、そのクレアチニンを年齢や性別を考慮して計算した「eGFR」というものが、腎臓がどのくらい働いているかの目安になります。

 

この「eGFR」は90以上が正常値になるのですが、実は年齢とともに低下してくるのでなかなか90以上は難しいです。ただ、「eGFR」が60以上あれば大きく問題ありません。
問題になるのは「eGFR」が50-60以下になった時で、お薬に注意が必要です。

 

お薬は肝臓で分解されたり、腎臓から尿の中に排泄されて、体の中から無くなります。
お薬の種類によって大部分が肝臓で分解されてしまうもの、逆に肝臓ではあまり分解されずに腎臓から尿への排泄がメインなものがあります。

 

腎臓から尿へ排泄されるタイプのお薬は、腎機能が低下すると体に蓄積してしまい副作用を起こしてくるので注意が必要です。
リウマチで使われるお薬の中で腎機能が低下(eGFR50-60以下)していると注意・使えないものには、「メトレート、リマチル、ロキソニン、セレコックス、ボルタレン」などがあります。

 

逆に、腎臓の排泄が少なく腎機能低下でも使えるお薬には、「生物学的製剤、アザルフィジン、タクロリムス、ケアラム、プレドニン、カロナール」 などがあります。

 

特に、生物学的製剤は全く腎臓の影響を受けませんので、腎機能低下の方にも十分に治療することができます。
暑くなってきて汗をかき脱水になると腎機能が低下しまい、eGFR60以上あった方がeGFR40くらいに低下してしまうことがありますので、しっかり水分補給をしましょうね。