指が白くなる
「指が冷えると真っ白く冷たくなる」
「指先が寒くなるとしびれる」
こういった症状をまとめて、レイノー症状といいます。
寒さが刺激になって、指先の血管が縮こまってしまい血液が指先に行きにくくなることで起きる症状です。
しばらくすると縮こまっていた指先の血管が開いてもとに戻るので、指は暖かく・赤くなり、その後元に戻ります。
考えられる病気:
・SLE
・強皮症
・MCTD
・飲んでいる薬の影響/職業病
・レイノー病
SLE
20~40歳代の女性に多い病気になります。
手指が白くなるレイノ‐症状の他に、「痛みのない口内炎」「頬~鼻が赤い」、「関節が痛い」、「日光を浴びるとかぶれてしまう」、「寒いところで指が真っ白くなる」などの症状が出てきます。
全ての症状が揃うわけではないですが、何個か当てはまる症状のある方は注意です
「⇒SLE」強皮症
一言でいうと名前のとおり「皮膚が硬くなる」病気です。
これも免疫細胞が自分を攻撃してしまう膠原病の一つになりますが、とくに皮膚が攻撃されてしまうのが特徴です。
その結果、軟らかかった皮膚が硬くなり、血液も指先に行きにくくなるので寒いところに行くと指先が真っ白くなってしまいます。
レイノ‐症状以外に、「指先の皮膚が突っ張る」「特に指を伸ばしにくい」「皮膚が硬くなった」「指先に傷ができやすい、治りにくい」「爪の付け根に黒い点がある」などの症状がでてきます。
「⇒強皮症」
MCTD
これまた聞き慣れない病気かと思います。
日本語にすると「混合性結合組織病」、ますます分かりにくいですね。
この病気は上の「SLE」「強皮症」、あとは「筋炎」という3種類の膠原病が混ざった病気になります。(それで混合性という名前なのですね)
この病気でレイノ‐症状が出ることは多く、70%の方でおきてきます。
レイノ‐症状以外では「指全体が腫れる(ソーセージ指といいます)」「手指の関節が痛む」やSLEで見られる「口内炎」、強皮症の「皮膚が硬くなる」、筋炎の「筋力低下・筋肉痛」などの症状がみられます。
検査:血液検査で「U1RNP抗体」という免疫物質を調べます
指の症状以外に、肺・心臓などの内臓に影響する事もあります。
胸部レントゲン・胸部CT:間質性肺炎という特殊な免疫の肺炎がないか調べます
血液検査BNP、心電図:心臓に悪さ(肺高血圧といいます)していないか調べます
治療:それぞれの症状によって変わってきます。
レイノ-症状、指先潰瘍:冷たい刺激で指先の血管がキューっと縮んでしまい、指先に血液がいかなくなるのが原因です。
血液がいかない状況が多くなると潰瘍などの傷が指先にできてしまいます。
その為、治療は血管が縮まらないように血管を開く薬(プロサイリン、ユベラ、血圧の薬)が中心になります。
また何より冷たい刺激を指に与えないことが大切なので、手袋・お湯・カイロなど指を冷やさない事が大切です。
もし潰瘍ができてしまったら、そこにバイ菌が入らないように毎日しっかりお湯で洗い流すことも心掛けてください。
指の腫れ(ソーセージ指):強皮症の最初の頃にみられます。ステロイド剤が効き指全体の腫れをとってくれるので、当院では少量のステロイドを使用いたします。
乾いた咳、間質性肺炎:血液検査のKL-6が増えてこないか、半年ごとの胸レントゲンや胸CT検査で間質性肺炎が広がっていないか定期的に検査をすることが大切です。
もし間質性肺炎の悪化があれば入院での治療も必要になるので、膠原病科のある病院にご紹介させて頂いております。
息切れ、肺高血圧:レイノ‐症状に使う血管を広げる薬を数種類併せて治療します。
血液検査のBNPなどで良くなったかを確認します。
また精密検査には心臓カテーテル検査が必要になる事があるので、こちらも専門の病院に紹介し検査して頂いております。
・今飲んでいる薬の影響、職業病
一部の血圧の薬(β遮断薬と言われるもの)、振動の多い仕事(チェーンソー、PC入力作業)などでも指先の血管が縮こまり血液が少なくなるのでレイノ‐症状を起こします。
レイノー病
他の原因が特に無い場合は、レイノー病と言われます。
治療は血管が縮まらないように血管を開く薬(プロサイリン、ユベラ、血圧の薬)、冷たい刺激を指に与えないなど他のレイノ‐症状と同じになります。