「ニュースで、病院でコロナウイルス感染が起きたと聞いて心配です」
「家族から病院にしばらく行かないようにいわれました」

そんな通院に関する不安な声を少しずつお聞きするようになりました。確かに、僕自身も新型コロナウイルスに感染することに不安はありますし、皆様もお気持ちがとても良く分かります。

その上で、ぜひお伝えしたいのが「リウマチのお薬は毎月の診察と血液検査が必要です!」という事です。
ここだけの話ですが、僕も高血圧や塗り薬などの定期検査や診察が不要なお薬は、今は電話再診、さらにこれを機に今後はオンライン診療に変わっていくのだと思います。
しかし、これらの定期受診と検査の必要性が低い薬とは違って、免疫抑制剤の仲間になるリウマチのお薬はしらないうちに副作用や感染症が起きる可能性があり、月1回の診察と血液検査が必須になります。

例えば、皆さんが使われているメトトレキサートは症状もなく肝臓や腎臓が悪くなっていることがあります。それを症状がない早期に見つけてお薬を調整すれば大事には至りませんが、そのままお薬を続けてしまうと肝臓や腎臓が壊れて入院や透析になってしまう事もあります。
逆に、新型コロナウイルスが心配でリウマチのお薬を自己中断されてしまい、寛解であったリウマチが再発して元の治療よりも強くしなくてはいけなくなってしまった方を、残念ながら3名ほど診察させて頂きました。皆さんリウマチのお薬を止めてしまった事を後悔されておられ、何よりリウマチのお薬を継続する必要性をお伝えできていなかった僕自身が深く反省しました。

確かに、人と接触することで新型コロナウイルスに感染するリスクはありますが、それよりも診察や検査をせずにリウマチのお薬を続けることの副作用や、リウマチのお薬を止めてしまう事でのリウマチ再発の方は可能性が非常に高く大きな問題であると僕らは考えます。またリウマチのお薬を継続することが新型コロナウイルスに感染しやすくなるという報告がない事を、再度皆様にお伝えさせて頂きご安心頂ければと思います。

そこで、僕らにできる事は何かを考えた結果、少しでも感染リスクをなくす取り組みをクリニック全体で徹底するという結論になりました。これらの取り組みによって、少しでも皆さまが安心してご通院頂けると幸いです。


2020.4.21 さとう埼玉リウマチクリニック院長 佐藤理仁