- Q:リウマチで治療中です。最近、ドライアイがでてきて眼科を受診したところ、シェーグレンという膠原病かもと言われました。シェーグレンって何ですか?」(埼玉県さいたま市:50代女性)
A:おっしゃる通りで、シェーグレン症候群は膠原病というグループに含まれる1つの病気になります。目の渇き(ドライアイ)と口の渇き(ドライマウス)の症状が特徴です。リウマチと合併することも多い病気になります。
シェーグレンって何ですか?
ワンポイント解説
シェーグレン症候群ってなーに?
シェーグレン症候群はリウマチと同じ膠原病という、免疫細胞が自分を攻撃してしまう病気のグループの中にある1つの病気になります。
40~60歳の女性に多い病気で、唾液腺という唾液を作る場所と、涙腺という涙を作る場所を免疫細胞が攻撃してしまうのが、シェーグレン症候群になります。
そのため、その特徴は何と言っても「目の渇き」+「口の渇き」になります。
ただ、免疫の細胞はそれ以外の体でも暴れてしまう事があり、関節痛や筋肉痛、皮膚、神経、肺、腎臓、血液、悪性リンパ腫など頻度は低いものの色々な症状が出てくることがあります。
僕らでいうと、手足の痛みがあり関節リウマチを心配されて受診された患者様が、検査の結果シェーグレン症候群の可能性が高いという結果になる事があります。
その場合には、患者様のご希望に応じて、総合病院様にご紹介させて頂いております。
「ドライアイと言われた」
「目がゴロゴロする」
「疲れ目」
「眩しい」
「まばたきが多い」
これらは、眼の渇きが原因の症状かもしれません。
「パンを食べると口の中がぱさぱさ」
「水分が無いと飲みこみずらい」
「味覚の変化」
「虫歯が増えた」
これらは、口の渇きの症状かもしれません。
倦怠感、発熱
・耳下腺(耳の前)の腫れ、顎下腺(顎のライン内側)の腫れ
・関節の痛み
・筋肉痛、筋力低下
・湿疹
・痺れや神経痛、頭痛など、神経や脳の症状
・息切れ、咳、痰など、肺の症状
・胸やけ、飲みこみにくさなど、胃腸の症状
・足の浮腫み、血尿など、腎臓の症状
・レイノー症状(寒い所で指先が真っ白くなる)など、血管の症状
などなど。それぞれ頻度は低いですが、様々な症状がでる可能性があります。
(※そのため当院ではシェーグレン症候群の診療は行っておらず、総合病病院さまへの受診をお勧めさせて頂いております。)
検査・診断
下唇や涙腺などを少し切って、それを顕微鏡でみる検査になります。
(大きな病院の耳鼻科様などでやられています)
②口の渇きを見る検査
ガムやガーゼを使って唾液量が少ない事+唾液腺シンチグラフィーという検査薬を点滴した後に大きな機械で写真をとる検査
(核医学という特殊な検査で大きな病院様になります)
③目の乾燥を見る検査
シルマーテストで涙の量が少ない事+角膜にダメージがある事の検査(眼科様での検査になります)
④血液検査
SSA抗体、SSB抗体のどちらかが陽性
これら4つの検査のうち、2つ以上が陽性であるとシェーグレン症候群という診断になります。
(参照元:シェーグレン症候群改訂診断基準 厚労省研究班 1999年)
特別な検査が多く、大きな病院様や、耳鼻科、眼科の先生方のお力が診断に必要になる事があります。
治療
総合病院様や、耳鼻科様、歯科様での治療になります。
エポザック、サリグレン、サラジェン という唾液分泌を増やすお薬が治療に使われます。ただ、30%の方で汗、気持ち悪さ、腹痛、下痢などの症状がでるといわれていますので、少ない量で始める事が多いです。
薬以外では、唾液を増やす食べ物(梅干し、レモン、シュガーレスガム)、うがい などがすすめられる事があります。
②目の乾燥
眼科様での治療になります。ムコスタ点眼、ジクアス点眼、ヒアレイン点眼、マイティア点眼など、目薬で涙を補充したり、ドライアイで傷ついた角膜を修復する治療になります。その他には、眼の乾燥を防ぐドライアイ保護メガネや、涙点プラグの治療なども行われております。
それ以外の症状
シルマーテストで涙の量が少ない事+角膜にダメージがある事の検査(眼科様での検査になります)
④血液検査
S免疫抑制剤やステロイド、最近では生物学的製剤の効果なども可能性が指摘されていますが、まだ一般的ではなく、大きな病院の膠原病内科様での治療となっています。