Q:リウマチと歯周病、歯槽膿漏に関係があるって聞いたのですが、本当ですか?
(さいたま市 60歳代男性)


A:はい、答えはYesになります。
リウマチの方は歯周病(歯槽膿漏)を持っている事が多く、また重い歯周病の方はリウマチの症状も重い方が多い事が報告されています。さらに、歯周病の治療をすると、リウマチの状態も良くなる事も報告されています。
「ハグキの腫れ」「ハミガキ時の出血」「歯が長く見えるようになった」「水がしみる」などは、歯周病の可能性がある症状になります。
さらに、口の症状がなくても大人の8割は歯周病予備軍と言われていますので、リウマチの皆さまには定期的に歯医者さんを受診される事がお勧めです。


ワンポイント解説

口の中にはたくさんの常在菌という細菌が住んでいます。
その中で歯周病の原因となって、しかもリウマチを引き起こす犯人と疑われている細菌が、P.gingivalis(ジンジバリス)というものになります。
このジンジバリスですが、他の歯周病を引き起こす細菌と違って、シトルリン化といって周りのたんぱく質の形を変えてしまう性質があります。そうすると、その形が変わってしまった変なタンパク質をお掃除しようと自分の免疫細胞が動き出し、抗体という武器を作ります。この抗体が抗CCP抗体とよばれます。
「抗CCP抗体?あれ、リウマチの診断に使う血液検査で見たことあるかも?」と思った皆さん、正解です!リウマチを診断する際の血液検査で最も役に立って、しかもリウマチ自体を引き起こす原因の一つでもある、抗CCP抗体になります。

まとめると、歯周病菌の一種のジンジバリスというやつが、周りのたんぱく質の形を変えて、それを取り除こうと免疫細胞が暴れだして、リウマチを発症してしまう可能性が現在考えられています。

なので、リウマチの発症を予防する為にも、また現在リウマチ治療中の方はリウマチを良くするためにも、歯周病の早期発見や治療も重要になります。


ただ、歯周病は、進行しても虫歯とちがって痛みがなかなか現れません。その一方で、予備軍も含めると日本人の成人の約8割が感染していると言われています。少しでも歯周病を疑う症状があるリウマチの方は、ぜひ歯医者さんにご相談されてみてくださいね。
なお、僕らのクリニックでも、同じモール内の歯科クリニックさまと協力してリウマチ治療と歯周病治療を行わせて頂いております。リウマチや歯周病が心配な方、ぜひご相談くださいね。


文章 医師 佐藤理仁