日々の診療で皆さんからよくお聞きする質問や症状などについて、ご紹介していきます。

数年前から、両方の手指が腫れて痛みがあります。血液検査のCCP抗体やリウマチ因子は陰性、CRPは1前後で少し高いと言われています。レントゲンでは変形もなく、リウマチとは確定できず痛み止めを処方してもらっています。リウマチの診断はまだできないのでしょうか?
関節が痛く、CRPが少しでも高ければリウマチやリウマチに近い病気(膠原病)の可能性が高いです。軟骨が減った痛みや五十肩ではCRPは正常のままです。
ぜひ一度診察をさせて頂き、「関節エコー検査」で気になる関節を一緒にみてみましょう。
ワンポイント解説

血液検査のリウマチ因子、CCP抗体はリウマチの体質があるかを見る検査です。リウマチの方のおよそ9割の方でこれらの数値が高くなり、リウマチの診断を助けてくれます。 ただ逆に言うと1割のリウマチの方はリウマチ因子、CCP抗体ともに正常のままです。リウマチ因子、CCP抗体が正常だからリウマチではないとは言えないんですね。
少し高いと言われているCRPは炎症の数値になります。正常は0.3以下ですので、少しでも上昇があれば体の中のどこかに炎症が起きていることを教えてくれています。神経痛や軟骨が減っての関節痛ではCRPは正常ですので、CRP1前後というのはそれだけでリウマチや膠原病の可能性が考えられます。

 

またレントゲンは骨の形が良く分かるのでリウマチによる骨の変形を見ることができます。 しかし骨が変形してリウマチと診断できるようになるのには半年から数年かかります。ですので、「最近手指が痛いな、リウマチかも?」と思って病院を受診されたほとんどの方の手足レントゲンは正常のままなんですね。

 

そこで役立つのが「関節エコー検査」になります。レントゲンにはうつらない関節の中を見ることができるので、関節に炎症が起きているのかをすぐに確認することができます。

 

またリウマチに似たような手指の痛みがでてくる他の膠原病(乾癬性関節炎、リウマチ性多発筋痛症、シェーグレン症候群など)の可能性もあるので、爪・皮膚・口など関節以外の診察や、膠原病の血液検査を一度されることがおすすめです。

 

まだリウマチとまでは診断できない状態でお困りの方、ぜひ一度関節エコー検査をしてみましょう♪