「生物学的製剤を始めるタイミングって?」ブログ診療所(56)
1年前にリウマチと診断されて、リウマチの飲み薬(メトトレキサート)で治療をしています。最初よりは良くなったのですが、まだ手首や肘に腫れと痛みがあります。生物学的製剤という注射を勧められているのですが、始めたほうが良い状況なのでしょうか?
関節エコー検査で手首や肘を見させて頂いたところ、骨や軟骨の変形が出てきています。また関節の中にリウマチの炎症が残っていますので、さらにこの骨や軟骨の変形が進行してしまう可能性が高いです。生物学的製剤での治療を始めるタイミングかと思われます。 治療を始めて良くなれば、注射の間隔をあけて注射の回数を減らしていく事も期待できますよ。

ワンポイント解説:

イラスト

生物学的製剤を始める5つのタイミング

① 飲み薬で治療を始めて3-4カ月経過してもリウマチが抑えきれない時
② 今まで安定していたリウマチが悪化した時
③ 痛みは腫れが強く、早くリウマチを良くしたいとき
④ 最初からリウマチの勢いが強く、飲み薬だけでは抑えきれないと思われる時
⑤ もうすぐご結婚される予定がある

イラスト

①飲み薬で治療を始めて3-4カ月経過してもリウマチが抑えきれない時

リウマチの治療は、まずメトトレキサートを始めとした飲み薬になります。
通常週3錠から始めて、ひと月毎に1錠ずつ増やしていきます。
治療を始めて3~4カ月がたつと、メトトレキサートの量が週5~6錠程度まで増えるので、この量になるとメトトレキサートが十分に効果を発揮します。
これで半数以上のリウマチの方がどの関節にも痛みや腫れのない状態になります。
これを寛解(かんかい)と呼びます。
ただ、治療を始めて3~4カ月たっても関節の腫れや痛みが残ってしまうリウマチの方も半数弱いらっしゃいます。
たとえ1-2か所の関節の腫れでも、そのままほおっておくと、骨や軟骨が壊されて手指・足指が変形したり、肘が曲がらなくなってしまいます。
そこで登場するのが生物学的製剤になります。
メトトレキサートで治療を始めて3-4カ月してもリウマチが治りきらない時が、生物学的製剤を使う1つのタイミングという事になります。

イラスト

②今まで安定していたリウマチが悪化した時

今まで飲み薬で安定していたリウマチが、再び強くなって手首や足指などが腫れてくることがあります。
その場合には、まずはメトトレキサートなど飲み薬を増やすことを考えますが、すでに十分な量を使っている場合には増やすことが出来ません。
ここが生物学的製剤を始めるタイミングになります。
またこの場合には、毎週使う生物学的製剤を2週おきに使ったりと、通常の半分程度の使い方で良くなることが多いです。

イラスト

③痛みは腫れが強く、早くリウマチを良くしたいとき

リウマチの治療の基本はメトトレキサートなどの飲み薬になりますが、飲み薬は少ない量から始めて数か月かけて徐々に増やす必要があるので、充分な効果がでるのに3~4カ月かかってしまいます。
一方、生物学的製剤はとっても効き目が早く、良く効く方だと注射をして2-3日後には効果がでます。
リウマチ痛みや腫れが強く、早く治したい方は最初から生物学的製剤を飲み薬と併せて使うことがおすすめです。
生物学的製剤を使って最初にリウマチをしっかり良くすると、生物学的製剤を減らしていくことも期待できます。

イラスト

④最初からリウマチの勢いが強く、飲み薬だけでは抑えきれないと思われる時

関節エコーで関節の中に非常に強いリウマチの炎症が起きている方や、血液検査で炎症反応(CRP)が5を超えるようなとても高値の方は、飲み薬だけではリウマチが抑えきれない事が最初から予想されます。
また飲み薬だけでゆっくり治療をしていると、どんどんリウマチが強くなってしまう事があります。
そのため、このような強いリウマチの場合には飲み薬だけでなく最初から生物学的製剤を一緒に使うことがおすすめです。

イラスト

⑤もうすぐご結婚される予定がある

妊娠・授乳中はメトトレキサートなどの飲み薬は使うことが出来ません。特にメトトレキサートは妊娠の3か月前から中止する必要があります。そこで役立つのが、生物学的製剤になります。生物学的製剤の中でも、エタネルセプト(エンブレル)とシムジアは妊娠・授乳中も使えますので、ご結婚を控えた方の心強い味方になります。