日々の診療で皆さんからよくお聞きする質問や症状などについて、ご紹介していきます。

昨年末から急に肩や背中が痛くなって、夜寝がえりをうつのも大変です。レントゲンでは骨に問題なく、五十肩の治療を受けているのですがなかなか良くなりません。リウマチの数値は出ていないようですが、炎症の数値は高いと言われました。リウマチの可能性などありますか?
「リウマチ性多発筋痛症」というリウマチの親戚のような病気が原因です。プレドニンというお薬が良く効きますので安心してくださいね。
ワンポイント解説

リウマチ性多発筋痛症は、
① ある日に首・肩・腰・太ももなどが急に痛くなってしまう
② 痛みで寝返りも打てない
③ 血液検査でCRP(炎症の数値)が高い
④ 関節エコー検査で肩に強い炎症が見られる
というのが特徴の病気です。



リウマチの親戚のような病気ですが、リウマチは指や手首などの小さな関節が腫れて痛くなるのに比べて、リウマチ性多発筋痛症は首・肩・腰・太ももなどの大きな関節・筋肉が痛くなる点が特徴です。
またリウマチのようにリウマチ因子・CCP抗体といった診断に使える血液検査項目が無いので、なかなか診断がつかずに原因不明の肩・首・腰の痛みで困られている方が多くいらっしゃいます。



リウマチ性多発筋痛症を疑うポイントは2つ、
① 「関節エコーで肩に強い炎症がある」
② 「血液検査でCRP(炎症の数値)が高い」  という点です。


ご相談いただいた患者さんも、診察室で関節エコーをさせていただいたところ肩関節や周りの腱に強い炎症が見られました。これは五十肩などでは見られません。また、院内の血液検査でCRP6.9(正常は0.4未満)と高い事が判明し、リウマチ性多発筋痛症が強く疑われました。
最終的な診断は1週間後の他の詳しい血液検査結果を確認してになりますが、リウマチ性多発筋痛症を疑いプレドニンという炎症を抑える飲み薬で治療を開始させて頂いたとことろ、お薬を始めて3日後にはずいぶん痛みが無くなり、1週間後に受診頂いたときはすっかり痛みもなくなって夜もよく眠れるようになったと喜ばれておりました。
「リウマチの数値は出ないけど、炎症の数値が高い原因不明の肩の痛みでお悩みの方」もしかしたらリウマチ性多発筋痛症かもしれません。お薬でずいぶんよくなるので、ぜひ一度ご相談ください。