コロナに効くリウマチのお薬があるって聞きました。リウマチの薬を使っていると、コロナにかかりにくいのでしょうか? (さいたま市 60歳代女性)

A:残念ながら、現時点で答えはNOになります。あくまで集中治療室に入院されるような重症コロナ患者さんの治療に効果があったという事で、予防ではありません。

ワンポイント解説

今回コロナに効いたと報告があったリウマチのお薬はアクテムラとサリルマブになります。両方ともリウマチの治療でよく使われる生物学的製剤の一種で、IL6という免疫細胞を暴れさせて炎症を引き起こす物質を吸着するタイプのお薬になります。

コロナウイルスの治療に使われるお薬は、大きく2つに分けて考えられています。
1つは、レムデジビルやアビガンのように、コロナウイルス自体を抑える事が期待されている「抗ウイルス薬」。
2つ目は、デキサメタゾン(ステロイドの一種)のようにコロナ感染をきっかけにおきた、免疫の暴走を抑える事が期待されている「抗炎症薬」になります。



特に、集中治療室で治療を受けるような重症なコロナ感染の方では、免疫が暴走している事が大きく影響していると考えられており、レムデジビルやアビガンのような「抗ウイルス薬」に加えて、デキサメタゾンなどの「抗炎症薬」も使われます。
この重症コロナ患者さんの免疫暴走を止める「抗炎症薬」として、新しくイギリスで認められたのが、今回のアクテムラやサリルマブになります。

なので、コロナウイルスの予防ができるという報告ではありませんし、お薬の働き方からもそれは期待できないと思われますので注意してくださいね。アクテムラやサリルマブを使っているかどうかに関わらず、手洗いやマスクなどの感染予防対策をする事が大切です。

もしアクテムラやサリルマブを使っている方で、熱や咳などコロナ感染かもしれない症状が出た場合には、いったんお薬を中止したり減らす事がリウマチ学会からも勧められていますのでご注意くださいね。

文章 医師 佐藤理仁