メトトレキサート(リウマトレックス)を使っているのですが、内服すると胃がムカムカして気持ち悪くなってしまいます。何かいい方法はありますか?

メトトレキサートを服用するときに「吐き気止め」を一緒に使ったり、翌日に飲まれている「フォリアミン」を増やすことで、吐き気が良くなる可能性があります。
それでも吐き気が続く場合には、メトトレキサートの量を減らして自己注射の「生物学的製剤」での治療を始めたり、他の飲み薬に変更する方法もあります。
遠慮なくご相談くださいね。
メトトレキサートを服用で気分が悪くなったとき

1.メトトレキサートってどんなお薬

現在、リウマチの治療で一番よく使われるのがメトトレキサート(リウマトレックス)という飲み薬です。飲み薬の中で効果が一番あるので、リウマチと診断して最初に使うお薬になります。
リウマチは、免疫の細胞が手足の関節で暴れて痛みや変形を起こしてくる病気です。
この暴れている免疫細胞が栄養としているのが「葉酸(ようさん)」というビタミンの一種になります。
妊娠中のサプリとして葉酸を取られた方もいらっしゃるかもしれませんね。

この暴れている免疫細胞に栄養源である「葉酸」を使わせないようにして、リウマチを治していくのがメトトレキサートの効果なります。いたずらばかりする子供に「反省するまでご飯は抜きですよ」というと、お腹が空いて反省して良い子になるイメージでしょうか。

お腹が空いたらどんないたずらっ子でも力が出ないのと同じように、このメトトレキサートはリウマチをしっかり治し、また量が増えるほど治療効果もパワーアップするとても頼りになるお薬です。

2.メトトレキサートで見られる不快な症状

メトトレキサートの量が増えるにつれて、よりリウマチをしっかり治してくれるのですが、不快な症状も出てきてしまうことがあります。
これは暴れている免疫細胞が栄養として使っている葉酸を、ほかの正常な体の細胞も栄養として使っているからです。正常な細胞も葉酸を使えなくなることで、不快な症状が出てしまうことがあります。

メトトレキサートでみられる不快な症状

①毎週、メトトレキサート飲むと、数日間気持ち悪さが続く
②メトトレキサートを飲み始める前にくらべて、明らかに抜け毛が増えた
③メトトレキサートを飲み始めてから口内炎がひどく、いつも口の中に口内炎がある

どれか当てはまる症状などありましたでしょうか?

3.メトトレキサートで不快な症状が出たときの対処法

メトトレキサートで不快な症状が出たときに、すぐに薬をやめなくてはいけないというわけではないので安心してください。
上手くメトトレキサートを継続しながら、不快な症状を抑える方法を一緒に考えましょう。

メトトレキサート不快感への対処方法

①「吐き気」には、メトトレキサートを飲むときに「吐き気止め」や「胃薬」を一緒に使う
例)「プリンペラン」(妊娠中のつわりでも使われる吐き気止めです)
例)「ストロカイン」(胃が痛い時にも使われる胃薬です)

プリンペラン錠 ストロカイン錠

②「吐き気」「抜け毛」「口内炎」には、翌日に飲む「フォリアミン(葉酸)」の量を増やす
例)「フォリアミン」1錠⇒2錠にUP(ビタミン葉酸なので増やしても特に問題ありません)

フォリアミン錠

③「口内炎」には口内炎用の「飲み薬」「塗り薬」「うがい薬」を使う
例)「トランサミン」「ムコスタ」「ガスロン」(口内炎で良く使われる飲み薬です)
例)「デキサメタゾン口腔軟膏」「アフタッチ貼薬」(口内炎に塗ったり、貼ったりするお薬です)
例)「アズノールうがい薬」(口の中を清潔にして口内炎を治します)

トランサミン錠
デキサメタゾン口腔軟膏
アズノールうがい薬

の3つが、まず最初にできる対処方法になります。
メトトレキサートの量を減らしても良いのですが、やはり減らすとリウマチが再発してしまう可能性もあるので、まずは量を減らさずに不快な症状もなくなれば一番いいですね。

4.それでも不快な症状が続く場合には

前述の①、②、③の対処法をしても変わらないときは

④メトトレキサートの量を1錠ずつ減らして様子をみる
例)メトトレキサート週6錠⇒週5錠

メトトレキサート錠

⑤メトトレキサートを減らしたり中止して、リウマチの特効薬「生物学的製剤」の注射を始める
例)メトトレキサート週6錠⇒エタネルセプト皮下注射

エタネルセプト皮下注射

⑥メトトレキサートを減らして別の飲み薬に変える
例)メトトレキサート週6錠⇒タクロリムス内服

タクロリムス内服

⑦吐き気だけの場合には、メトトレキサートの注射薬「メトジェクト」に変える
例)メトトレキサート週6錠⇒メトジェクト皮下注射

メトジェクト皮下注射

などの方法もあります。
どれが良いかは、お一人お一人のリウマチの状態やメトトレキサートの不快感の程度でも変わってくるので、ぜひリウマチ専門医にご相談くださいね。