指先のしびれ、冷え、痛みの原因はリウマチ?膠原病?
ワンポイント解説
手が痛い、指が痛いとなると、リウマチが心配になるお気持ち良く分かります。
ただ、指先が冷えて真っ白くなって、その時に手指が痛くなっている場合にはリウマチではなくてレイノー現象が起きている可能性が高くなります。そして、その場合には、リウマチ以外の膠原病が隠れていないかを、大きな病院の膠原病科で相談されることがお勧めです。
レイノー現象、聞きなれない言葉かと思います。一言でいうと、寒さの刺激で指先の血管がキュッと縮こまって、一時的に指先に血が流れなくなってしまう現象をいいます。そうすると指先の色が悪くなるだけでなく、血液が届かなくなるので、指先のしびれ、冷え、痛み、感覚が無くなる、締め付けられるような感じ などの症状が出てきます。
ただ安心してください、ずっとそのままではなく数分で自然に戻ります。
まずは指先に血が行かないので指先が真っ白くなり、次に指先の細胞が酸素不足を起こして苦しそうな紫色、最後に血管が広がって血液が流れて赤色になり、元に戻ります。この3色の変化がレイノー現象の特徴です。
さて、ここで注意するのは、レイノー現象がみられる方の30~60%の方に膠原病(こうげんびょう)が隠れている事です。ざっくり2人に1人は何らかの膠原病が原因で、レイノー現象が起きているイメージになります。
膠原病は免疫細胞が、自分の体のあちこちを攻撃してしまう病気をまとめた呼び方です。なので、膠原病の中にも沢山の病気があり、僕らが専門とするリウマチも厳密にはこの膠原病の1つになります。ただ、幸いリウマチがレイノー現象を起こす事が少なく10%未満と言われています。
逆にレイノー現象の原因となる膠原病で多いのが、「①強皮症(きょうひしょう)」と「②混合性結合組織病(こんごうせいけつごうそしきびょう)」になります。
サクッとお伝えすると、強皮症は名前のとおりに皮膚が硬くなる膠原病になります。皮膚が硬くなると、皮膚をつまみ上げることが出来なくなるのがポイントです。
混合性結合組織病は、前述の強皮症とSLE、多発性筋炎という3つの膠原病の症状が混ざった病気になります。だから混合性なんですね。その症状は沢山あるのですが、レイノー現象と、指ないし手の甲がボテッと腫れるのが多くの方にみられる症状になります。
どちらの膠原病も、指先のレイノー現象だけでなくて、肺・心臓・腎臓・腸など全身の検査が必要になる事がありますので、総合病院の膠原病科での検査や診察がお勧めとなります。
文章 医師 佐藤理仁