日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まろうとしています。
これで新型コロナウイルスに感染する不安が和らぐ一方で、ワクチンを接種したほうが良いでしょうかなどの問い合わせを、診察室でもリウマチ患者様からよく頂くようになりました。
まだ日本では接種が始まっていないため分からない点も多いのですが、現時点での情報を日本リウマチ学会の方でまとめられていましたので、それを参考にお伝えさせて頂きます。



Q1:新型コロナウイルスのワクチンは、どんな効果があるんでしょうか?


A1:ワクチンを接種すると、新型コロナウイルスに感染する確率と、感染して重症化してしまう確率を減らす効果があります。
ファイザーが開発したメッセンジャーRNAというタイプのワクチンを打つと、「新型コロナウイルスに感染する確率が、打っていない人の5-10%まで下がる」と報告されています。
また「重症化も予防してくれる」ことが示されています。もちろん100%の効果ではないものの、しっかり新型コロナウイルス感染の予防と、重症化を防ぐ効果が認められています。

Q2:リウマチで治療中の人は、ワクチンを接種したほうが良いでしょうか?


A2:これは難しい質問で、ワクチンを接種する事で得られるメリットとデメリットのバランスと、現在の治療状況なども併せて主治医の先生とご相談されるのが良いと思います。

<ワクチン接種のメリット>
①新型コロナウイルスにかかりにくくなる
②感染しても重症化しにくくなる
③生ワクチンではないので、リウマチで治療中の方も接種できる
(※今後は生ワクチンが販売される可能性もありますのでご注意ください)

<ワクチン接種のデメリット>
①メッセンジャーRNAという新しいタイプのワクチンである事
②注射した場所が腫れたり、アナフィラキシーというアレルギーが起きる事がある
③今後、現在のワクチンでは効果がない新型コロナウイルスの変異種がでてくる可能性がある

これらのワクチンのメリット・デメリットと、あとは現在の治療の状況などを踏まえて主治医の先生にご相談されるのが一番かと思います。

Q3:リウマチの方は、新型コロナウイルスにかかると重症化しやすいのでしょうか?


A3:新型コロナウイルスの流行が始まって1年たちましたが、新型コロナウイルスが重症化してしまうリスクに、「リウマチ」や「リウマチのお薬」は入ってきていません。
新型コロナウイルスで重症化するリスクとして「高齢者」「肺気腫」「腎臓病」「糖尿病」「高血圧」「心臓病」「肥満」が言われていますが、さいわい「リウマチ」や「リウマチのお薬」などは入っていません。
これは1年前の新型コロナウイルスが流行し始めた当初からあまり変わっておらず、それから沢山の方が新型コロナウイルスに感染されて、莫大なデータになったにも関わらず同じという事は、やはり「リウマチ」や「リウマチのお薬」はそれほど心配しなくて良いのかなと個人的には思います。
ただ、リウマチのお薬は暴れているリウマチの免疫を抑えるのと同時に、正常な免疫も多少大人しくしてしまう可能性が、お薬の働き的には考えられます。
そのため、リウマチでどんな治療をされている方が新型コロナウイルスワクチンの優先接種対象になるかなど、現在話し合われている所になります。

Q4:ワクチンを打つ時に、リウマチの薬は続けても大丈夫ですか?


A4:他のワクチンと同じように、リウマチの薬をそのまま継続して良いのではと言われています。ただ、新しいタイプのワクチンで分からない点も多いので、接種する前の主治医の先生に確認してみてくださいね。

Q5:集団免疫ってなんですか?


A5:人口の大多数の方が新型コロナウイルスに対する抗体を持つことで、ウイルスが広がる事が出来ずに終息していく事です。
集団免疫は、人口の70%近くの方が新型コロナウイルスの抗体をもつと効果が期待できると言われています。そこまで多くの方が新型コロナウイルスの抗体を持つと、ウイルスの立場から見ると、抗体を持っていない感染できる人を見つける事ができなくなり、増える事が出来ずにウイルスが消えていくという事になります。
新型コロナウイルスのワクチンには、自分が新型コロナウイルスにかかったり重症化するのを予防してくれる効果だけでなく、新型コロナウイルスの流行を抑える効果も期待されているんですね。

Q6:ワクチンの副作用はどんなものがありますか?


A6:現在言われているものが、「①注射した場所が腫れる」、「②頭痛・怠さ・寒気・筋肉痛などの風邪のような症状」、「③アナフィラキシーというアレルギー反応」になります。また現在分かっていないものとしては、今回のワクチンが新しいタイプであるため、何年後に出てくるような長期的な副作用に関しては不明です。

「①注射した場所が腫れる」
これが他のワクチンでも一緒かと思います。腫れたり痛みがでたりしますが、1週間以内に消えるという事です。

「②頭痛・怠さ・寒気・筋肉痛などの風邪のような症状」
これもインフルエンザワクチンなどでも時折みられる症状かと思います。
頭痛、怠さ、筋肉痛、関節痛、寒気などの症状で、2回目の接種や若い方で多い傾向があるようです。

「③アナフィラキシー」
これも他のワクチンでもみられるものですが、ワクチンを打った後に血圧が下がってフラフラしたり、全身に蕁麻疹がでたりといったアレルギー反応になります。

<参照 日本リウマチ学会 https://www.ryumachi-jp.com/information/medical/covid-19_2/

リウマチ・膠原病患者さんの新型コロナウイルスワクチン接種について