「鎖骨が腫れて痛い?」ブログ診療所(53)
数年前から時々鎖骨が痛くなることがあったのですが、数か月前からはずっと痛みがあり腫れています。最近は手首や膝も痛くなってきました。これってリウマチでしょうか?
確かに関節エコー検査で診てみると、胸鎖関節という首の下の関節、手首、膝の関節の中に炎症が起きていますね。手のひら、足の裏に、小さなブツブツした発疹もありますね。血液検査の結果も確認してになりますが、「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」というリウマチの親戚のような病気が原因かと思われます。

ワンポイント解説:

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首の下にある、鎖骨が腫れて痛くなる場合、原因として可能性が高いものは「①関節リウマチ」「②掌蹠膿疱症性関節炎(しょうせきのうほうしょう)」になります。
皆さんがお持ちのイメージとして、「関節リウマチ」と聞くと手指の腫れや痛みを考えられるかと思います。確かに、関節リウマチでは手指や足指が腫れたり痛くなることが多く、およそ9割のリウマチの方に症状がでる場所になります。 ただ、以外なところでリウマチで鎖骨が腫れて痛くなることもあるんです。首の下の鎖骨と胸骨のくっついている部分を胸鎖関節と呼びます。この胸鎖関節もリウマチが起きる可能性のある関節の一つになります。痛みがある場合には、腫れているか触ってチェックしてみましょう。
もう一つの、「掌蹠膿疱症性関節炎(しょうせきのうほうしょう)」に関しては名前を聞いたこともない方が多いかと思われます。リウマチと同じく、免疫細胞が自分を攻撃して起こる病気の一つで、鎖骨などの関節の腫れ痛みと、手のひら・足の裏のボツボツした小さな発疹が特徴になります。リウマチと違って、リウマチ因子やCCP抗体など診断に使える血液検査項目が無く、さらに炎症の数値CRPも正常のままのことも多いので、手のひら・足の裏に発疹が無いかの診察と、関節に腫れが無いかの診察&関節エコー検査が診断に役立ちます。治療は、リウマチと似ている部分があり、リウマチで使われる飲み薬や生物学的製剤が使われます。
「鎖骨が腫れたら、リウマチ?掌蹠膿疱症?」ぜひ覚えてくださいね。