ワンポイント解説
確かに膝の痛みの多くは、変形性膝関節症(へんけいせい ひざ かんせつしょう)という、膝の軟骨が減っておきる病気が原因になります。「グルグルグルグル、○○ミン♪」というCMで皆さんがお馴染みのくらいよくある病気で、多くの患者さんがおられます。変形性膝関節症はリウマチとは違うので、整形外科さまでの診断や治療となります。 しかし、そんな変形性膝関節症の方々に混じって、リウマチが原因で膝が腫れて痛い方々が紛れ込んでいる事があります。もしリウマチだとすると、話が全く変わってきます。 リハビリや膝の注射や手術がメインの変形性膝関節症に対して、リウマチは飲み薬が中心の治療になります。しかも、リウマチは発症してから1年の間に、骨が壊れたり変形したりと一番進行してしまうので、早期診断と早期治療が何よりも大切です。 また通院する病院も、整形外科専門医から、リウマチ専門医がいる病院に変わってきます。 なので、リウマチで膝が腫れて痛くなっている方を見逃さない事が、患者様の為にとても大切になってきます。 また、リウマチよりも頻度は少ないですが、リウマチ以外の膠原病でも膝が痛くなる事があり、その場合には大きな病院の膠原病科での治療がお勧めになります。
そこで、リウマチが原因の膝の痛みを考えるポイントが3つ!
膝の軟骨が減ったことが原因の変形性膝関節症に比べて、リウマチは体全体で免疫細胞が暴れている事が原因の病気になるので、リウマチが原因で膝が痛い場合には膝以外の手や指や足の関節なども痛くなる傾向にあります。
特に、痛みだけでなく、ポッコリ熱をもって腫れている場合には、関節の中で炎症を起こしていると推測され、リウマチの可能性がグッと高まります。また頻度は低いですがリウマチ以外の膠原病の可能性も考えられます。
変形性膝関節症の痛みの特徴は、動き始めた時の痛みです。骨と骨の間の軟骨クッションが減っているので、動き始めに体重が膝にかかってゴツンと骨同士がぶつかるのをイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。逆に、横になって寝ているときなどは、膝に体重がかからないので痛みが出にくくなります。
一方、リウマチの特徴は、じっとしていても膝が痛む事です。これは変形性膝関節症と違って、膝の関節の中で免疫細胞が暴れて炎症を起こしているのが原因なので、膝の動きとはあまり関係なく痛みが出ます。また低頻度ながらリウマチ以外の膠原病の可能性も考えられます。
変形性膝関節症では、膝の中で少し炎症が起きる事はありますが、全身に炎症が起きているリウマチとは違うので、血液検査で炎症の数値(CRP)が正常のままになります。また、もちろんリウマチの体質を見る検査(CCP抗体、リウマチ因子)なども正常の事が多いです。このリウマチ血液検査の3点セット(CRP、CCP抗体、リウマトイド因子)を調べて頂き、どれかに異常があればリウマチの可能性がグッと高まります。またリウマチ以外の膠原病の可能性も考えられます。
文章 医師 佐藤理仁