手指の痛み、こわばり、変形

Finger pain, stiffness, deformation

「手指の痛み、こわばり、変形」などの症状がある方

⇒関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、強皮症、パルボウイルス感染症

関節リウマチ

最初にリウマチで痛くなる関節で最も多いのが手指になります。なんとリウマチの半分以上の方に手指の痛みが最初に出ています。
そんなリウマチの初期症状の可能性の高い手指の痛みのポイントは、

  • ①指の一番先端の関節は、まずリウマチが出る事は無い事
    皆が気になる指の第一関節の痛みは膨らみは、後でご紹介する変形性関節症や乾癬性関節炎の事が多いです
  • ②指の中でも、特に人差し指と中指の付け根にリウマチは出やすい事
    理由は分からないのですが、多くのリウマチの方で人差し指と中指の付け根に痛みと腫れが出てくることが多いです。
  • ③痛みだけではなくて、ぷっくりと腫れていて押すと痛い事
    痛みだけだと、関節以外の筋肉や皮膚などで痛みを感じることがあります。リウマチは関節の中で炎症が起きて関節は腫れて膨らみます。関節が腫れると、皮膚が赤くなったり、膨らんで皺が見えてなくなります。また押すとブヨブヨしていて、痛みがある事がポイントです。
  • ④1本の指だけでは無くて、複数の指が痛い。または指以外にも手首や肘、足などが痛い
    リウマチは免疫細胞が暴れてしまう病気ですが、暴れている免疫細胞は血管を通って全身に行くことが出来ます。なので1か所の関節だけでなく、複数の関節に痛みがある事も一つの特徴になります。
  • ⑤2-3日でおさまる痛みではなくて、痛みが2週間などずっと持続している
    関節の中で炎症が起きていますので、痛みが数日でおさまらずに持続する、さらには痛みが強くなったり、痛い関節が増えたりするのもリウマチの特徴です
  • ⑥使うと痛いだけでなく、じっとしていても痛い
    動かすと痛くなるのを運動時痛と言います、整形外科さんがご専門の打撲や捻挫などがこれに当てはまります。リウマチの場合には、もちろん動かすと痛くなりますが、じっとしていてもズキズキ、ズーンと痛い事が特徴になります。ちなみに、これを安静時痛と呼んでいます。
  • ⑦指の中からズーンとズキズキする痛み
    痛みは目に見えないので、なかなか他人には伝えずらいところがあります。そこで、リウマチの患者様に、どんな痛みなのか表現して頂くと、指の中からズーンとズキズキする痛みとよく教えて頂きます。関節の中で炎症が起きているのを良く表しているのだと個人的に思います。ちなみに、ピリピリやチクチクといって指の表面的な痛みは、皮膚の痛みや神経痛の事が多く、リウマチでは無い事が多いです。
    また手指の関節は小さいので、血液検査をしても炎症反応(CRP)が正常の事が多いです。そんな時に関節エコーで指の中に炎症が起きているかでリウマチを診断することがお勧めです。
気になる症状のある方は、リウマチ専門の当院にご相談くださいね。
変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)
リウマチが出てこない爪のすぐ下の関節が痛い、または変形してきた時、一番原因として可能性が高いのが変形性関節症になります。これは、加齢や手をたくさん使ったりして、指と指の間の軟骨がすり減ったことが原因で起きてきます。安静や湿布、痛み止めなどの治療になり、整形外科の先生がご専門になります。
特に50歳を過ぎた頃から女性の方には多く見られ、とても頻度が高いものになります。
ちなみに、指の先端(第1関節)の変形性膝関節症はへバーデン結節、その下の第二関節の変形性膝関節症はブシャール結節という名前がついています。お聞きになったことがあるかもしれませんね。
乾癬性関節炎
皮膚科で乾癬(かんせん)と診断された方が、手や指が痛い場合に見逃してはいけないのが、乾癬性関節炎になります。
リウマチが出てこない爪のすぐ下の関節が痛い時は、上記の加齢変化である変形性関節症が多いのですが、見逃してはいけないのが乾癬性関節炎になります。
これはリウマチと同じく免疫細胞が関節で悪さをして関節が痛くなったり変形したりする病気です。また、頭・肘・お尻などにカサカサした赤い湿疹が出たり、爪が黄色くボロボロしてくるなど、関節以外の皮膚に症状が出ることが特徴です。
ご高齢の女性の方に多い変形性関節症に比べて、乾癬性関節炎は中年のちょっとメタボ気味の男性に多く見られます。変形性関節症にしては、お若く、しかも男性でちょっとメタボ気味だなと方の場合には、この乾癬性関節炎を考えても良いかもしれないですね。
変形性関節症では安静や湿布、痛み止めなど整形外科さまでの治療になりますが、乾癬性関節炎の場合にはリウマチで使うお薬がとても良く効きますので、僕らリウマチ医がお役に立つことが出来ます!
気になる方はまずは皮膚科クリニックを受診し、湿疹や爪の症状が「乾癬(かんせん)」なのかを診て頂いてください。皮膚科で乾癬と診断され、手指が痛い場合は、乾癬性関節炎の可能性があります。その場合には、戸田院の方で診療を承っておりますので、ご相談くださいね。
強皮症
これも免疫細胞が自分の体を攻撃してしまう膠原病の一つになります。とくに、手指の皮膚が攻撃されてしまい、最初はソーセージのように指全体がパンパンに腫れ、数か月すると腫れがしぼみ皮膚が固くなってくるのが特徴です。最初の指全体がパンパンに腫れているときは、少量のステロイドが良く効きます。
その後、腫れがしぼみ皮膚が固くなって時期は指先の血流を改善する治療が大切になってきます。
肺や心臓、胃腸等の指以外の内臓にも症状が出てくることがありますので、膠原病科のある病院やクリニックを受診するようにしてください。
パルボウイルス関節炎
ウイルス感染でも関節が痛くなることをご存知でしょうか?
インフルエンザウイルスにかかると関節が痛くなることを思い出していただけると良いかと思います。色んなウイルスが関節痛を起こしてきますが、特に小さいお子さんのいるお母さんに多いのがパルボウイルス関節炎になります。
これはお子さんによく流行するリンゴ病と同じウイルスになります。
お子さんがかかると熱がでて、頬が赤くなるリンゴ病の症状になりますが、そこからお母さんが感染すると関節痛だけが出てきます。この場合には痛み止めだけで、安心してくださいね。
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