指が腫れている

指が腫れている

「中指が腫れていて痛いです」
「人指し指が腫れて曲げられない」
「朝起きると薬指がこわばって腫れています」
など、手の指が腫れてお困りの方も多いかと思います。

ぶつけたり、ケガをしたわけでもないのに指が腫れている場合には、しっかりした治療が必要な病気が隠れている事が多いので注意してくださいね。 指が腫れている場合にはどんな病気が考えられるのか、ご紹介していきますね。

○指が腫れる病気

関節リウマチ

指が腫れている場合にまず考えるのが、関節リウマチという病気になります。リウマチやリューマチと呼ばれたりもします。どこかで聞いた事があるでしょうか。

<リウマチってどんな病気?>

リウマチは、自分の体の中にある免疫細胞たちが、間違って手や足の関節を攻撃してしまう病気です。本来、細菌やウイルスなど体に害あるものを退治してくれていた免疫細胞たちが、悪さをしてしまうんですね。
原因はまだはっきり分かってはいませんが、もともとリウマチの体質をもっていたところに、タバコや歯周病、出産や閉経、ストレスやケガなどの刺激が加わる事でリウマチを発症しやすくなると言われています。
食生活などが原因の生活習慣病とは違いますので、何か自分の生活が悪かったのかな?など思わず、ご自分を責めないでくださいね。

<リウマチはどんな人に多いの?>

昔はリウマチというとご高齢の方の病気だと言われていましたが、実は40-60歳の元気な女性の方に多い病気である事が分かってきました。さらに、決して稀な病気ではなくて、100-200人が集まると1人リウマチの方がいらっしゃる事も分かっています。以外に多いですよね。
50歳前後の女性の方で、手を沢山使ったわけでもないのに指が腫れている場合、まずこのリウマチを考えて頂けると良いかと思います。

<リウマチの症状>

関節リウマチは、手の指や足の指などが腫れて痛みが起きる病気になります。
しかも、腫れや痛みのある関節がどんどん増えていき、数年後には骨が壊されて指が変形したり動かなくなってしまいます。
なので早くリウマチと診断して治療する事が大切になります。
リウマチの初期症状として、手の指はリウマチが出やすい場所で、特に痛みやこわばりに加えて腫れもある場合には、リウマチの可能性がとても高くなります。

<リウマチの指の腫れを見つけるポイント>

①「リウマチは指の付け根と第2関節に出やすい」

リウマチでは、指の中でも「指の付け根」と「指の第2関節」が腫れて痛くなります。
特に、「指の付け根」が腫れはリウマチ以外ではあまり起きないので重要です。
逆に指先の爪のすぐ下にある第1関節は、リウマチが起きにくい場所になります。指のどの関節が腫れているのか確認してみてくださいね。

②「リウマチは関節が柔らかく膨らんで、熱を持っている」

まず腫れている指を触ってみてください。リウマチでは関節の中で炎症がおきているので、他の指に比べて熱を持っている事が多いです。
また腫れている指を、反対の手で縦横と軽く押してみてください。
リウマチで腫れている関節はブヨブヨ腫れている感じがします。また押すと痛みが強くなるのも特徴です。

③腫れている指は赤く膨らみ、シワが見えにくくなっている

リウマチで指が腫れると、ほんのり赤くなり、関節が膨らんで皮膚が盛り上げるのでシワや毛穴が目立たなくなります。
腫れが気になる指と、他の指と比べてみてくださいね。

<リウマチの最新検査>

リウマチの検査と治療はここ10数年で凄くよくなりました。以前は、レントゲン検査でリウマチの診断をしていたのですが、リウマチになって何年もした後で骨に異常が出てからでないと診断できす、リウマチになったばかりの方を見つける事が出来ませんでした。 しかし、今は「関節エコー検査」という最新の検査が登場し、リウマチになったばかりの方を早期に見つける事ができるようになりました。
しかもこの関節エコー検査は、その場でその日に痛い関節をすぐに診る事が出来ます。さらに体に負担が全く無い検査なので安心してくださいね。

<リウマチの最新治療>

リウマチの治療も以前と比べ格段によくなりました。昔のリウマチのお薬は残念ながらあまり効果が無かったので、痛みは腫れが良くならずに、多くの方が指の変形が進んで生活が不自由になってしまわれました。
でも、今はリウマチの研究が進み、リウマチ専門で作られた良いお薬が沢山あります。
そのため、昔は治らなかった痛みや腫れをしっかり治すことが出来き、また指の変形なども起きないようになりました。
多くの方が、リウマチになる前と同じ生活を送れるようになったので、安心してくださいね。

一番良く使われるのが、飲み薬の「メトトレキサート」。これは週1-2日だけ飲めばOKで、6-7割のリウマチ患者さんがこの薬で良くなります。

リウマチの勢いが強くてメトトレキサートだけでは抑えきれない時には「生物学的製剤」という注射のお薬もあります。 これはリウマチの原因物質を突き止め、それをピンポンとで狙って治療するお薬なので効果抜群。しかも、腎臓が悪い方や、妊娠中や授乳中も使えたりと安心なお薬になります。

さらに、JAK阻害剤という最新の飲み薬や、ご高齢の方でも使いやすいタクロリムス、イグラチモドなどの飲み薬など、良いお薬が沢山あります。お1人お1人にピッタリあった治療ができるようになりました。

指が腫れていてリウマチが心配な皆さん、ぜひ私達リウマチ専門クリニックにお気軽にご相談くださいね。

腱鞘炎(けんしょう炎)、バネ指

腱鞘炎やバネ指はどこかで聞いた事があるかと思います。お仕事やスポ―ツで手を使った後に、指が腫れて痛くなったり、指が曲げにくくなった場合に、考える病気になります。

指の付け根には、腱(けん)という指を曲げるときに使うヒモの様なものがついているのですが、このヒモに炎症が起きてしまうのが腱鞘炎です。
そのため、指の付け根の痛みに加えて、指が曲げにくい、さらに指が動かないなどの症状が出てきます。腱鞘炎が進んで指が曲げにくくなったのをバネ指と呼びます。

手を沢山使った後の腱鞘炎やバネ指は、電気治療やマッサージ、リハビリなどが治療となり、整形外科さんがご専門になります。

ただ注意するのは、リウマチが原因の腱鞘炎が隠れている事があるという点です。

<リウマチの腱鞘炎を考えるポイント>

①手を沢山使った覚えがないのに腱鞘炎が続いている
②1か所ではなく複数の指に腱鞘炎がある
③指以外に手首や足なども痛い

こういった場合には、リウマチからの腱鞘炎の可能性があります。そして治療もリウマチ専門のお薬が必要となり大きく変わってきます。リウマチの腱鞘炎が気になる方は、私達リウマチ専門クリニックご相談くださいね。

乾癬性関節炎(かんせんせい かんせつえん)

乾癬(かんせん)という皮膚の病気をお持ちの方が、指が腫れた時に考える病気になります。
乾癬は皮膚で免疫細胞たちが悪さをする病気で頭や腰、ひじ、ひざ等にカサカサした湿疹が出てきます。
さらに、その免疫細胞たちが関節でも悪さをすると、指が腫れたり痛くなったりする事があります。これが乾癬性関節炎です。
リウマチと同じように、そのままにしておくと骨が壊されて、指が変形し曲がったり動かなくなってしまったりするので、しっかり見つけて治療する事が大切です。

<乾癬性関節炎の指の腫れを見つけるポイント>

①「腫れている指の爪が黄色くボロボロしている」

乾癬は皮膚や関節だけでなく、爪にも症状が出てきます。爪が黄色く変色し、爪が弱くなるのでボロボロ欠けやすくなったり、一部がはがれたりしやすくなります。

②「指全体がボーンと腫れている」

乾癬性関節炎ではリウマチと違って、指全体が赤く腫れて、指が曲げにくくなる事があります。まるでソーセージの様に指全体が腫れて膨らむのでソーセージ指と言われたりします。

③「指の第一関節がブヨブヨ赤く腫れている」

リウマチでは起きない指先の第一関節が乾癬性関節炎では腫れる事があります。加齢変化(へバーデン結節)でも第一関節が腫れる事があるのですが、見分け方はその腫れの固さです。
乾癬性関節炎ではブヨブヨ柔らかく、赤みと熱をもって腫れます。加齢の変化では固い腫れで押しても痛みが無いのが特徴です。

<乾癬性関節炎の最新の検査と治療>

乾癬性関節炎の治療も、リウマチと同じくここ10数年で凄くよくなりました。
リウマチと同じ飲み薬「メトトレキサート」で関節の腫れや痛みがとても良くなります。
またリウマチでも使う「アダリムマブ」「シムジア」などの生物学的製剤や、乾癬専用の生物学的製剤も登場し、関節だけでなく皮膚の湿疹もとても綺麗になるようになりました。

乾癬性関節炎かな?と思われた方は、戸田院の方で診療を承っておりますので、お気軽にご相談くださいね。

膠原病(こうげんびょう)

膠原病は、免疫細胞たちが関節だけでなく全身で悪さをしてしまう病気をまとめた呼び方になります。膠原病の中に、さらにいくつかの病気があるんですね。

その中で、指が腫れる膠原病に強皮症(きょうひしょう)があります。

強皮症はその名前のように、皮膚で免疫細胞たちが悪さをして、皮膚が腫れたり硬くなるのが特徴です。

特に、手の指で症状が出やすく、指が腫れたり曲げにくくなったりします。

またレイノー症状といって、冬場など指先が冷えると指が真っ白くなってしまいます。

この強皮症は、指だけでなく肺や心臓、腎臓などの内臓にも症状が出てくるため、大きな病院の膠原病科での診察が必要となります。

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