肘の痛み、肘の腫れ、肘が伸ばせない

肘の痛み、肘の腫れ、肘が伸ばせない

リウマチ(=関節リウマチ)
手や指が腫れて痛くなるイメージの強いリウマチですが、肘にもリウマチが出る事があります。リウマチ友の会さんの報告によると、肘が最初に痛くなったリウマチの方が7.8%いらっしゃいました。つまり10人にお1人弱は、肘の痛みや腫れから始まるリウマチの方がいらっしゃるんですね。

肘のリウマチの特徴としては、手首や指のリウマチに比べて腫れているかが分かりにくい点があります。それは、もともと肘の周りには太い筋肉があるので関節の腫れを隠してしまったり、そもそも肘の外側は死角となり見にくかったりするからです。

しかし、肘のリウマチを見逃して変形すると、肘の曲げ伸ばしがしにくくなってしまいます。そうすると、朝洗顔をする時に手を顔に持っていけなかったり、歯ブラシやドライヤーなどを口や髪にもって行けなかったりと、日常の生活に影響が出やすいのが肘のリウマチの注意点になります。

そこで、肘が痛いなと思った時にリウマチを見つける方法としては、まずじっとしていても肘がズキズキ痛いという点です。リウマチは免疫細胞が自分を絶えず攻撃してしまう病気なので、肘を安静にしていても痛みが続くというのが特徴です。
さらに、両肘をゆっくりできるとこまで伸ばしてみて、右左の肘で差が無いか確認してみましょう。肘の関節の外側にリウマチが出ていると、肘を伸ばすと痛みが強くなったり、関節の腫れに邪魔されて肘を伸ばしきる事ができません。次に両肘をぐっとまげてみましょう。これも特に肘の内側の関節にリウマチがでていると、肘に痛みを感じたり、肘を曲げきる事が出来なくなります。

そして、リウマチかな?とおもったら、ぜひ僕らの様な関節エコー検査のできるリウマチ専門クリニックにご相談くださいね。関節エコーをポンッと肘にあてると、肘の関節の中でリウマチ等の赤い炎症が起きているかどうかが、その場で分かります。特に、肘以外にも、手首や指、足なども他の関節も痛い時は、リウマチの可能性がグッと高まりますので、ぜひご相談くださいね。
乾癬性関節炎(かんせんせい かんせつえん)
リウマチと似たように、手足や肘にも関節の痛みや腫れを起こすのが、乾癬性関節炎になります。これもリウマチと同じく免疫の細胞が暴れて、自分の関節を攻撃してしまう病気です。
リウマチとの大きな違いは、乾癬性関節炎の場合には関節だけでなくて、皮膚や爪にも免疫細胞が悪さをするという事です。頭皮や肘、膝、背中などに、皮膚がポロポロ落ちる湿疹ができます。また爪には、小さな凹みが出来きたり、爪が浮いて剥がれたりといった変化が出てきます。

「痛くて肘を見てみたら、肘の皮膚がポロポロ落ちて湿疹ができていた!」なんて場合には、この乾癬性関節炎の可能性がグッと高まります。

これも僕らリウマチ専門医が得意とする病気になります。お薬で治療を始めると、関節の痛みが無くなり、皮膚も爪も綺麗になります。そのためには、肘の関節の中に炎症が起きているかどうかの検査が大切になりますので、ぜひ関節エコー検査ができるリウマチ専門クリニックにぜひご相談くださいね。
リウマチ以外の膠原病(こうげんびょう)
免疫細胞が暴れて自分を攻撃してしまう病気をまとめて、膠原病と呼びます。その中で、一番患者さんの数が多くて、関節痛の原因の可能性が高いのがリウマチになります。
ただ、頻度は低いながらリウマチ以外にも膠原病に分類される病気がいくつかあり、そのほとんどが肘を含めた関節の痛みを起こします。そこで大切になるのが、リウマチと違って、他の膠原病は関節以外の症状も見られる事です。

SLEという膠原病では関節痛に加えて、口内炎、鼻から頬にかけての赤い湿疹、日光アレルギーなどの症状があります。強皮症(きょうひしょう)という膠原病では、関節痛に加えて、手指が寒いところで真っ白くなるレイノー現象、手足の皮膚が硬くなりつまめなくなるなどの症状がみられます。シェーグレン症候群という膠原病では、眼や口の渇き、耳下腺の腫れなどの症状がみられます。
こういった関節の痛み以外の症状がある時は、リウマチ以外の膠原病である可能性がグッと高まります。その場合には、関節以外にも肺や心臓や腎臓などの全身を調べる必要がでてきますので、総合病院の膠原病科を受診されることがお勧めです。
テニス肘

名前の通り、中年以降のテニスをされる方に多く見られる病気になります。ただテニスをされない方でも加齢で起きる事もあり、正式名称は上腕骨外側上顆炎と言います。
肘にある腱が、使い過ぎや加齢で痛んで起きると考えられています。

自分の免疫細胞が暴れて常に炎症を起こしているリウマチと違って、テニス肘の場合にはじっとしていれば痛みはなく、肘を動かそうと腱を曲げ伸ばしした時に痛みがでます。特に、物をつかんで持ち上げようとしたり、タオルを絞ろうとすると、肘の外側から腕にかけて痛みが走るのがリウマチと違う所です。

飲み薬の治療が中心のリウマチと違って、テニス肘の場合には安静やリハビリ、肘への注射などが治療になりますので、整形外科の先生がご専門となります。

肘部管症候群(ちゅうぶかん しょうこうぐん)

肘の内側には、手の指にむかって神経が通っています。この神経が、加齢による肘の変形や、昔の骨折による肘の変形、ガングリオンというできものなどで押されたり引っ張られたりして痛みが走るのが、肘部管症候群になります。
肘の内側をつくとビリっと痛みが走ったり、小指と薬指に痺れがでるのが特徴です。

肘の関節の中で炎症が起き続けているリウマチの場合には、ズキズキした痛みがずっと続くのに比べて、肘部管症候群の場合には神経の痛みなので、一瞬ビリっと電気が走ったような痛みがでるのが大きな違いになります。
自分でチェックできる方法としては、肘の内側を指でポンポンと叩いてみましょう。すると、手の薬指や小指に痺れがでるのが特徴です。
リハビリや肘の安静、注射や手術などが治療になりますので、肘部管症候群が整形外科の先生がご専門の病気になります。

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