手首が腫れている

手首が腫れている

「手首が腫れていて、曲げられない」
「手をつくと手首が痛いです」
「手をひねると痛みがあります」
など、手首が腫れてお困りの方も多いかと思います。

ゴルフなど手首を使った覚えもないのに手首が腫れている場合には、リウマチなどの病気が隠れていることがあります。
手首が腫れているときはどうしたらよいのか、ご紹介していきますね。

○手首が腫れる病気

関節リウマチ

皆さんは関節リウマチという病気を知ってますでしょうか? 40-60歳前後の女性に多く、手や足が腫れて痛くなる病気になります。

<リウマチってどんな病気?>

もともと人間の体の中には、ばい菌や癌など悪いものをやっつける免疫細胞がいるのですが、この免疫細胞が自分の手や足の関節で悪さをしてしまうのが、リウマチになります。
「あの人、普段は凄くいい人なのに、お酒を飲むと人が変わったように暴れてしまうのよね」といった感じでしょうか。
そんな人には、酔っ払っている免疫細胞が手足の関節で暴れる事で痛みや腫れが出てきます。さらにそのまま飲ませておくと、次第には周りの物を蹴ったり投げたりして壊し始めるように、関節の中では骨が壊されてしまいます。そうすると、手や足が変形して曲げ伸ばしができなくなってしまいます。

そのため、免疫細胞が酔い始めた段階で早めに見つけて、お酒をお水に変えてあげる対応をするように、リウマチも腫れや痛みが出始めた早期に診断をし、良いお薬で早く治療してあげる事が大切になります。

<手首の初期症状>

リウマチと早く診断するには、症状を早く見つける事が大切です。その中でも、手首の腫れはリウマチの初期症状でとても多いので、ぜひ確認してみてくださいね。

1「左右の手首を比べてみる」

リウマチで腫れている手首は、少し赤みをもって膨らんできます。なので反対の手首と見比べて、赤くなっていないかや、膨らんでいないか見てみましょう。
また手首の皮膚には横しわが何本か入っているのが普通ですが、手首がはれるとその横しわが消えて見えなくなります。また手首全体が膨らむことで、もともとあった手首のへっこみや出っ張った部分も見えにくくなるので、確認してみてくださいね。

2「両手を合わせて手首を曲げてみる」

腫れている手首は、通常の手首に比べて曲げにくくなります。それを確かめる方法が、お祈りポーズと逆お祈りポーズです。こうすると、左右の手首の曲げにくさを比べる事ができ、手首の腫れを見つけることができます。

3「手首を軽く押してみよう」

腫れが気になる手首を、反対の手指で挟んで軽く押してみてください。
ブヨブヨと柔らかく腫れている感じや、押したときに痛みが強くなるのが、リウマチの特徴になります。

<リウマチの最新検査>

リウマチの検査は、以前はレントゲン検査が中心だったのですが、今は関節エコー検査に大きく変わりました。
レントゲン検査では骨しかうつらず、リウマチが起きている肝心の関節の中をみる事ができませんでした。そのため、リウマチがかなり進行して、骨が壊れたり変形してきてようやくレントゲンで映るようになるので、リウマチを早期に診断するのはとても大変でした。 でも、ご安心ください。ここ数年で関節エコー検査という最新の検査が登場し、レントゲンでは見えない関節の中も見る事ができるようになりました。しかも、妊娠中の胎児エコーや人間ドックなどでお馴染みのエコー検査なので、体への負担もなくその場ですぐに検査ができます。
関節エコー検査で手首に炎症が起きている場合には、リウマチの以外の病気がないかなどを含めた血液検査を行い、リウマチの診断となります。

<リウマチの最新治療>

もしリウマチだと分かっても、心配しないでください。リウマチのお薬もここ10数年で凄く進歩したので、良いお薬が沢山あります。

リウマチが分かってまず最初に使われることが多いのが、メトトレキサートという飲み薬です。週2回だけ飲めばよいお薬で、6-7割の方がこのメトトレキサートだけで良くなります。

もしメトトレキサートだけではよくならない強いリウマチの場合には、生物学的製剤というリウマチ専用の注射の出番になります。この生物学的製剤は、リウマチの研究が進んで、この原因物質を抑えればリウマチが良くなるということが分かって作られた最新の治療薬になります。リウマチの重要なポイントを狙って治すので、とても効果があり、また体への負担も少ないのが特徴です。注射の回数も、糖尿病で使われるインスリンのように毎日ではなく、1-2週間に1回程度の注射でOKです。また現在8種類の生物学的製剤があるので、きっとぴったり合う注射がみつかるので安心してください。

その他にも、タクロリムスやイグラチモドといった飲み薬もあり、お一人お一人の状況に最適な治療で、リウマチの痛みは腫れを良くすることができます。

手首が腫れていてリウマチが心配な皆さん、ぜひ私たちリウマチ専門クリニックにお気軽にご相談くださいね。

リウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症(りうまちせい たはつ きんつうしょう)は、リウマチと同じように免疫細胞が暴れ、手首が腫れて痛くなる病気です。
リウマチと少し違うのは、手首の腫れに加えて、首・肩・腰などの筋肉も痛くなる点です。 特に肩の筋肉痛が頻度が高く、ある日急に両方の肩が痛くなって、服の脱ぎ着や寝返りを打つのが大変になってしまう人が多くいらっしゃいます。
治療はステロイドが中心になります。このステロイドが凄くよく効いて、数日で痛みがすっきり良くなる方が多いので安心してください。
リウマチ性多発筋痛症は膠原病(こうげんびょう)の1つになりますので、膠原病科のあるクリニックや総合病院を受診ください。

乾癬性関節炎(かんせんせい かんせつえん)

もともと皮膚に湿疹を起こす乾癬(かんせん)を持っている方で、手や足が腫れて痛くなる事があります。これが乾癬性関節炎です。
これもリウマチの親戚のような病気で、皮膚で暴れていた免疫細胞が、手や足の関節で暴れて痛みや腫れを引き起こすことが原因です。
治療はリウマチと同じ「メトトレキサート」という飲み薬が良く使われます。
飲み薬で良くなりきらない時は、リウマチでも使われる生物学的製剤「アダリムマブ」「シムジア」や、乾癬専用の生物学的製剤「コセンティクス」などで治療します。
手や足の腫れや痛みも良くなり、湿疹もキレイになるので安心してくださいね。
乾癬性関節炎が気になる方は、まずお近くの皮膚科を受診し、湿疹が乾癬であるのかを診てもらってください。皮膚科で乾癬であると診断された方の中で、手足が腫れて痛い場合には乾癬性関節炎の可能性があり、戸田院で診療を承っておりますのでご相談ください。

膠原病(こうげんびょう)

免疫細胞が関節だけではなくて全身に悪さをしてしまうのが、膠原病になります。
その中で、手首に腫れを起こす病気にシェーグレン症候群があります。
シェーグレン症候群では、手首の腫れや痛みなどの関節の症状に加えて、ドライアイや口の渇きがでてくるのが特徴です。
シェーグレン症候群が気になる方は、膠原病科のあるクリニックや総合病院を受診ください。

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